まうんとぽぜっしょん

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まうんとぽぜっしょん

 「この女性に憑いている霊よ、姿を現せ」  最近、身の回りで不可解な出来事が起こるので霊視してほしいと、ある女性に頼まれ、除霊する事にした。 俺は霊媒師。他人には視えない幽霊などを視えるのだが、どうして視えるのか、視えたって何も良いことはないし、ないほうが普通の生活が出来るのにと子供の時から思っていた。霊媒師をしているうちにある事に気が付いた。そこにいるだけの幽霊は怖くないという事だ。幽霊が本当に怖いのは『憑依した人間の人生を転落させる事』だ。俺の友人はキャンプで幽霊を連れて帰ってしまい、奥さんとは離婚、子供とも離れ離れ、仕事もうまくいかず、病気も患うなどたて続けにマイナスのスパイラルに引きずりこまれすっかり腐ってしまった。 依頼者の女性も友人と同じ目にあってはいけないと、憑依している霊を呼び出してみたが、姿を見た瞬間、除霊出来る自信がひいてしまった。相手が相手だ。悪霊でも悪魔でもない、数年前に他界した、俺の妻だったのだ。
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