読書記録・八本脚の蝶

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読書記録・八本脚の蝶

 SNSにハマった。というか、ブログに興味を持ったきっかけが、表題の作者である二階堂奥歯さんである。  彼女のブログは、端的だが刺さる。私がファッションやダイエット、自分磨きに意識が向いたきっかけでもあるので、後10年、早く出逢いたかった。  芯があり、死に向かう美しさがある。  遺作ではないはずだが、永遠に語り継がれていく。ある種のカリスマ性。  だが、このブログを読んで、後を追いたいとは不思議と思わない。生の力強さ。  此方に来るほど、あなたはなにかを突き詰めたのか。と、問われているようで、出逢うことがあったなら、様々なことを話してみたいと思った。ブログも、コメントなど、してみたかった。と、思わせるほど、詠み進めるうちに、自然ととなりに感じる。    ブログは、途中から二階堂奥歯という物語になり、この世界ではないどこかへ吸い込まれてしまった。だが、そののかけらは引用された作品のなかにあり、触れた者たちはみな、作品に触れるたびに二階堂奥歯という物語に触れる。引用された言葉達にも意味はあり、魂が宿っている。  物語を守るために物語になってしまった人ではあるが、私はそんな、彼女と語らうようにこの本を読むのが好きだ。ブログがまとめられただけ。それだけだが……まるで、彼女が目の前でゆったり座りながら、語りかけてくるような錯覚がある。    これからも、多分、死ぬ寸前まで、私がこの一冊を手放すことはないだろう。  私が私に迷うとき、何度だって読み返し語らい、いつか私も。と、生を分けてもらうだろうから。
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