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食事を終え、図書室にでも行こうかと食堂を出たところで双子たちに出会った。
2人も食事を終え、寮から学校へと戻るところなのだろう。
「サーシャ、今日はもう授業終わり? お店にいる?」
「放課後にお菓子を買いに行きたいの!」
「ええ、今日はもう終わりです。この後は図書室に行きますが、1時間くらいで店に戻りますよ」
いくら授業数が少ないとはいえ、仕事をしながら学校の授業についていくのは大変だ。
予習、復習は欠かすことができない。そんなサーシャを気遣って、優等生のエレオノーラやレイヴンが勉強を教えてくれるのは、とてもありがたかった。双子も課題に必要な書籍を探してくれたり過去のノートを貸してくれたりと、手助けをしてくれる。以前にも増して、人の優しさを感じる毎日だ。
「じゃあ、授業が終わったら買いに行くね」
「待っててね!」
「はい、待ってますね」
サーシャに手を振って校舎へ向かおうとした2人だが、たまたま近くを通りかかったレイヴンを見つけると、彼の服を引っ張って戻って来た。
「レイヴンも一緒!」
「何で俺まで」
「甘いもの好きでしょ!」
以前はレイヴンのことを「何を話しても無視する」と嫌っていたノアだったが、サーシャの入学に一役買っていると知ってからは気を許したらしい。
レイヴンの口数が少ないのをいいことに、勝手に話を進めるくらいには親しくなっていた。そういえば、ノアはどうして実戦の授業の時に成長した姿になっていたのだろう。そこは未だに聞けていない。サーシャは特に気にしていないので、ノアが話したい時に話してくれれば良いと思っている。
「ふふ、レイヴンさんもお待ちしてます」
「……まぁ、脳を使った後は甘いものが欲しくなるからな」
レイヴンは双子のように毎日来るわけではないが、たまに甘いものを買いに来る。背が高く、逞しい男性のレイヴンが双子と同じように甘いものを買う姿は意外性があって可愛い。
店のお得意様が増えることは良いことだ。
生徒たちと交流しながら、仕事をして、勉強に励む。そんな日々は、とても忙しいけれどサーシャにとってはかけがえのない、充実感のあるものだ。
学校にも通えて、楽しく平和な毎日。そんな日々がずっと続くことをサーシャは願っている。
END
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