267人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
新しい生活
結論から言うと、サーシャは魔法学校に入学することになった。
リーテ王立魔法学校の生徒にはなったが、売店の店員も続けている。
今は魔獣に関する授業だけ参加し、他の授業中は売店の仕事をするという生活だ。
サーシャの能力を活かす目的なら、敵を攻撃するような魔法を使えなくてもいい。剣術や戦うための授業も必要ない。
学校の授業のうち、サーシャは魔獣の生態、薬草の知識、回復魔法といった授業に参加している。
どうやらレイヴンが学園長に話をつけてくれたようで、このような特例が認められた。
また、学費免除という特待生扱い。至れり尽くせりである。
午前の授業が終わり、サーシャは食堂へ移動する。
今日の授業は午前中だけだ。昼食を食べた後は、売店の仕事。
今まで昼食は店でひっそりと食べていたが、入学してからは結構な頻度で食堂を使っている。
実は、サーシャの中で密かな憧れであったのだ。ここ最近は、食堂の日替わりメニューのチェックがサーシャの日課である。
「サーシャ」
「エレオノーラ様。今からお昼ですか?」
食堂の手前で、エレオノーラに声をかけられた。
この学校の生徒になって良かったことは、エレオノーラと会う機会が増えたことだ。以前から手を振ってくれたり声をかけたりしてくれていたが、休憩時間や放課後に出会うことは少なかった。それが今では、毎日のように会っている。サーシャは前よりもエレオノーラと仲良くなれたんじゃないか、とすら考えている。
さすがに、親しくなったからといって上級貴族のエレオノーラを食堂に誘う勇気はないが。
エレオノーラや双子たちのような上位の寮の生徒は、自室で食事をとることが多い。
専属のシェフがいるからだ。
双子はたまに食堂に来るらしいが、エレオノーラは食堂で昼食をとったことはないと言っていた。
「ええ。寮に戻るところ。サーシャは食堂かしら? 早く行かないと席がなくなってしまうわよ」
最初のコメントを投稿しよう!