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「もちろん、どーじを封印したえらーいご先祖様だってのは分かってるけど、いつまでも大昔の人と私達を比べないでよ。そういうの嫌われるわよ? 懐古厨〜」
紗夜は頭の上に?が付いている結衣に説明した。
「この姉妹は500年前、ご主人様を封印し、呪いをかけた陰陽師の一族、柊木家の子孫なのです。今はこの二人がご主人様の監視役となっています。
柊木家は本来一人で完結する陰陽術を、血縁の者と共鳴させ、倍増させる能力がありました。それによってご主人様の力の九割を封印し、大好きな酒と女に手を出せぬよう呪いをかけたのです。
一応、過去に行った悪行を超える善行を積めば、"更生"が完了したとして、"酒と女"は解禁される事になっています。
それからもちろん、"殺し"に関しても呪いはかけられていて、人間相手にご主人様の能力は使えないようになっています。ですが……」
「どーじは結衣を襲った村人達を、能力を使って殺したわけでしょ? でも呪いは発動しなかった」
「ええ、つまり悪事を働き、人間としての道を踏み外したものは"外道"となり、ご主人様の呪いの発動対象ではなくなるのでしょう」
「じゃあ今後は鬼や妖怪退治の他に、悪人退治もお願い出来るわね!仕事が増えて良かったじゃない、どーじ! あ、それから結衣のお世話もするのよー。ぷぷぷっ!」
真紀も続ける。
「せめて言葉を話せるようになるまでは、てんちゃんが結衣ちゃんの事を保護してあげて欲しいわ。これも"更生"の一環という事で……ね?」
「はぁ…… 全く、鬼使いの荒い巫女だぜ……」
こうして史上最強最悪の鬼と、言葉を話せない娘の不思議な生活が始まるのだった。
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