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鬼達は呆気に取られた。
「何言ってんだオメェ!」
「自分が今どういう立場か分かってねぇようだな」
「腕の一本二本折ってやるか」
そう言って鬼達が近づいたその時、
シュルルルルッ!!
「な、なんだこれは!」
「蛇っ!?」
「う、動けんっ!」
「ぐああ……」
八匹の蛇が酒呑童子の裾から飛び出して、八体の鬼をぐるぐる巻きに拘束した。
「さあ、早く仲間を連れて来い。時間が経つたびに、ここにある"くじ"を引く」
"くじ"というのは、八体の鬼を拘束している蛇の尻尾だった。それは酒呑童子の足元に集まっていて、ぷりぷりと動いている。
「くじ……だと!?」
「例えばだな…… "目"にしよう」
酒呑童子は蛇の尻尾を一つ選び、軽く引っ張った。すると、運良く拘束されなかった九体目の鬼の、すぐ隣の鬼が悲鳴と血しぶきを上げた。
「ぐぎゃあああああ!!!」
蛇が鬼の目をムシャムシャと食べていた。
「お前が仲間を全員ここに連れて来るまで、ここにいる八体の鬼に拷問を続ける。なに、命は取らないさ。殺して欲しいと泣き叫んでもな。ふははははっ!」
「な、なんて奴だ……」
「鬼より鬼じゃねえか……」
「た、助けてくれぇ!」
「おい、腰抜かしてないで早く仲間を連れて来い!」
九体目の鬼は情けない声を出しながら走って影の中に消えた。
「さあ、さっきの鬼は仲間を連れて来るかな?それとも、命惜しさにお前らを見殺しにするのかなぁ?」
ニチャアっと残酷な笑みを浮かべた酒呑童子は、その後、"くじ引き"を楽しんだ。
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