鬼は外、福は内

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鬼は外、福は内

 酒呑童子が一仕事を終えて帰って来ると、いきなり全身に細かい何かをぶつけられた。 「痛ぇ!なんだぁ!?」  紗夜と結衣が小さな木の箱からじゃらじゃらと豆を取り出し、酒呑童子に投げつけていた。 「鬼は外〜!福は内〜!」 「んっ!ん〜!」  バチバチバチッ! 「痛っ、おいやめろ! てか紗夜、お前も鬼だろうが!」  紗夜は日頃の恨み?をぶつけている様子だったが、結衣はとても純粋に楽しそうな顔をしていた。 ――ま、まぁ、楽しんでるならいいか…… 「だが、お前は許さん!」  そう言って酒呑童子は結衣の持っている豆を取り出し、ド近距離で紗夜にぶつけた。 「ダメイドは〜外!」 「ご主人様ひどいですぅ〜っ!!」    ふぅ……と一息ついて屋敷に戻り、鬼から奪ってきた金品をテーブルの上に置くと、そこには紙と筆があった。  それはひらがなの練習のようだった。おそらく紗夜が結衣に読み書きを教えていたのだろう。まだ拙いながらも、頑張っている形跡があった。  そしてふと外を見ると、結衣が庭を手入れしていて、紗夜に身振り手振りで色々と教えているようだった。    二人はそれぞれ出来ることを教え合っているようだ。  酒呑童子は椅子の上で伸び、欠伸をして微睡んだ。 「ま、悪くない一日だったな……」
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