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ナマハゲドン
とある日、とある地方にて、酒呑童子は鬼の仮面を被り、小さな子供達を威圧しようと頑張っていた。
「わ、わりぃ子はいねぇかー!……あ、あれ?」
しかし、子供達は恐れるどころか、はしゃいでいた。
「きゃっ!きゃっ!」
「お兄ちゃん、全然怖くないや」
「毎年お兄ちゃん来てよっ!」
「遊ぼーよ、お兄たん!」
――くそ! 全然怖がらねぇ!
「お、俺は鬼だぞぉ!」
「もう無理だよお兄ちゃん!」
「背は低いしー声は高いしー」
「そんなひょろひょろな鬼見た事ないよ?」
――ぐぬぬぬ……! ガキにここまで馬鹿にされるのは500年生きてきて初めてだ……! この身体のせいで……!
「頑張れどーじ!あはははっ!全然っ迫力ないんだけど〜(笑)」
実紀は屈辱に悶える酒呑童子を見て、心底楽しんでいるようだった。
"ナマハゲドン"という、鬼のような面を被った一行が小さな子供を脅して回る謎の地域行事。これは立派な神事である。ちなみに、ナマハゲドンは鬼ではなく神らしい。
以前は地域の未婚の男子が担っていたが、最近は成り手が少なくなってきた。そこで、柊木家に相談があり、酒呑童子にその役目が回ってきたのだ。
――実紀の奴、絶対許さねぇ! 最強最悪の鬼神と呼ばれた酒呑童子様に、こんな屈辱をおおお!
酒呑童子が怒りで震えていると、小さな子供達が集まってこそこそ話を始めた。
「お兄ちゃん、頑張ってるんだから怖がってあげようよ」
「もしかして、泣いてない……?」
「そうだね、お兄ちゃん一生懸命やってるんだからっ」
「わ、わーこわいなー」
「お、お兄たん鬼、怖いなー」
――ガキに同情されてるっ!!??
「ぷぷぷぷぷっ!あはははっ!もうダメ!笑い死ぬう〜〜〜!!!」
――実紀イイイイイイイイ!!!!
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