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かつてデスモンドの講義で聞いたことがあった。この世の精霊や妖精は階層になっていて、そのどちらにも頂点に立つ存在があると。その名は、許されたものしか、口にできない。
頂点に立つ存在。それは、精霊王と妖精王。
数多の妖精を手足のように使い、デスモンドも出来ないような魔術を見せ、世界の理を見通すようなことを言うフィオナン。
アリンは、彼のことを妖精王か、それに準ずる高いレベルの妖精だと思うようになっていた。
そんな存在に、人の煩わしい出来事に関わらせるべきではないと思った。
アリンはフィオナンを愛する気持ちは胸に秘めて、このタイミングで別の道を行くのがいいのだと自分に言い聞かせていた。しかし、つい縋る気持ちが言葉に出た。
そして、涙も止まらなかった。
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