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24 笑顔の裏で
涙が止まらなくなったアリンは、無言でダイニングを出て自分の部屋に飛び込んだ。
それを、フィオナンは追いかけることもできず、その場に立ち尽くした。
フィオナンはフィオナンで、自分の欲望と戦っていた。
アリンとこれ以上深く関わるということは、自分自身が彼女との別れを受け止めきれなくなるのではないかと恐れていた。
それでも、本当はもっとアリンに近づきたかった。アリンの全てを飲み込んでしまいたかった。飲み込んで、そのまま自分の一部にしてしまいたかった。
そうすれば、永遠の空虚を埋めることができるかもしれない…。
そんな存在があるとは思わずに時を渡ってきた彼だったが、それを求め始めた瞬間に、猛烈な乾きを感じ始めていた。
自分の力で、ほんの瞬きのような人間の生命を、永遠に引き伸ばす。実現してはいけない望みだったが、今のフィオナンに魅惑的に思えた。
(だめだ…。揺れてはだめた…)
フィオナンは心を鎮めるため、目を閉じた。
そんな彼をあざ笑うように地震が起こった。床が動いて彼の足元を揺らした。
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