18人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
オギャーオギャー
早朝の花街に赤ん坊の声が響く。
置き屋の軒下に赤ん坊が捨てられていた。
「お母さん大変!捨て子よ」
「まだまだ早朝は寒いのに、中に連れて来て可哀想に大丈夫かしら」赤ん坊の籠の中にオムツとミルクが入っていた。
「ミルクがまだ温かいわ、捨てられたばかりね。後悔して引き取りに来るかもしれないから、しばらく預かっておきましょう」
1ヶ月たっても誰も引き取りに来ません。
「困ったわ!育てるにしても男の子だし、芸妓ができるわけでもないし、何の役にも立たない」
「でも可愛いわ!こんなにある置き屋の中で、家を選んで置いていったんだから何かの縁があるのよ。女の子として育てれば?将来芸妓もさせたり、こんなに可愛いんだから女の子にしても大丈夫かも」
「蝶華は楽観的だね!先のことはわからないでしょう?ごっつい男に成長するかもしれないでしょう?」
「その時はその時」
名前は果梨と名付けられました。
数年後
果梨は成長しもう大学生、美しい女として夜は芸妓をしている。
「お母さん、今夜旦那さん来るからお座敷でれない」
「ああ、いいよ!水島の旦那さん可愛がってくれるかい?」
「うん!」
「大事にしなさい。お前が男とわかっていて可愛がってくれてるんだからね」
最初のコメントを投稿しよう!