花街

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オギャーオギャー 早朝の花街に赤ん坊の声が響く。 置き屋の軒下に赤ん坊が捨てられていた。 「お母さん大変!捨て子よ」 「まだまだ早朝は寒いのに、中に連れて来て可哀想に大丈夫かしら」赤ん坊の籠の中にオムツとミルクが入っていた。 「ミルクがまだ温かいわ、捨てられたばかりね。後悔して引き取りに来るかもしれないから、しばらく預かっておきましょう」 1ヶ月たっても誰も引き取りに来ません。 「困ったわ!育てるにしても男の子だし、芸妓ができるわけでもないし、何の役にも立たない」 「でも可愛いわ!こんなにある置き屋の中で、家を選んで置いていったんだから何かの縁があるのよ。女の子として育てれば?将来芸妓もさせたり、こんなに可愛いんだから女の子にしても大丈夫かも」 「蝶華(ちょうか)は楽観的だね!先のことはわからないでしょう?ごっつい男に成長するかもしれないでしょう?」 「その時はその時」 名前は果梨(かりん)と名付けられました。 数年後 果梨は成長しもう大学生、美しい女として夜は芸妓をしている。 「お母さん、今夜旦那さん来るからお座敷でれない」 「ああ、いいよ!水島(みずしま)の旦那さん可愛がってくれるかい?」 「うん!」 「大事にしなさい。お前が男とわかっていて可愛がってくれてるんだからね」
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