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43 〜宝〜 バックメンバーが全員ステージに上がると、SEが絞られ、袖から如月がゆっくりステージの中央にやって来た。 長身の身に纏った黒のワイドパンツに重ねたロングスカートの様なボトムス。身体のラインが分かるピッタリした同色のトップス。不揃いな毛先がライトに当たり青く見える。 その妖艶な姿で髪を雑に掻き上げて、マイクスタンドに長い指をかけた。 シンと鳴るような静寂。 如月が叫んだ。 「俺たちがNOT-FOUNDだーっっ!!」 同時くらいに如月のヴィジュアルを聞きつけて駆け付けていたバンギャの女の子達は黄色い悲鳴をあげた。 とんでもない人の勢いがステージに迫ってくる。 黒服にガッツリメイク。闇を感じさせる楽曲に底を這う歌詞。加えてヴァンパイアを思わせる青白くあまりに美しい如月。 人が人に酔っている。 最前列の女子や男子までもが、如月に向けて手を伸ばす。 スピーカーに足をかけて、顔を傾けると、艶やかな髪はキラキラと流れる。 如月の声は見た目同様に人を毒牙にかけて行く。 俺も、ギターのネックを高く上げたり、屈んだ姿勢で舟木と合わせクルクルッと回ってみたりする。 手応えしかなかった。 音が氾濫する。溢れて、止まらない。 如月が声を張ると、その声と共にライトが一斉に天井に向けて跳ね上がる。 あぁ…たまんねぇ、すっげぇ、やばい。 これはマジで…中毒です。
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