5. 告白

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 広美という女性も夫が単身赴任で、義理の両親と暮らしている三十代のパートだった。  香子とは違い、義理の両親とあまりうまくいっていないらしく、相談を受けるうちに男と女の関係になったという。 「週に一度だけ夜勤があると言って、息抜きに俺の所に来ていた」   香子が黙っていると、仁は続けた。 「若い頃の君に似ていた」 「え?」  どういう意味だろうか。怒りが沸き上がってきた。 (昔の私に似ているから、浮気をした?)   とんだ言い草だ。 「理不尽なことを言ってるのはわかる。うまく説明できないんだが、見知らぬ土地に来て苦労している昔の君を見ているようで、つい同情してしまった。本気じゃなかった」 「そんな! 昔の私みたいだから、それで私を裏切ったってなに?」  結婚してからのこの二十五年はなんだったのか……? 「裏切った。そうだな。でも、昔の君を見るようで放っておけなかったんだ。彼女がつらいと泣く時、それを慰めることが昔の君への償いのように思ってしまった」 「そんな屁理屈は通らないわよ!」  香子は怒りに任せてそう大声を出しはっとする。
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