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5. 告白
晴れとはいえ気温は低く、外に出れば刺すような寒さだったが、日当たりが良い病室は太陽の光と暖房でぽかぽかしていた。
「彬がね……」
仁の隣に椅子を置いて座ると、社会人になったばかりの長男が今回いかに頼りになったか話す。
「そうか。まあ、あいつの年には、俺たちも結婚してたしな」
仁が言う。
香子と仁は東京の大学で知り合い、恋人同士になった。
卒業したら地元で就職するという仁に付いて行くと決めた香子も、岩手で就職先を見つけ社会人一年目で結婚した。
子どもが生まれ香子は仕事を辞め、当初は義理の実家近くのアパートを借りて住んでいたが、義母に病気が見つかり同居を始めた。
単身赴任が決まった時も、義父母を置いて付いていく選択肢はなく、また子供達も転校を嫌がった。
「すまなかった」
突然、仁が香子に謝った。
「えっ?」
「気づいたんだろ? その……」
浮気のことを言っているのだ。部屋を見られたらバレることはわかっていたのだろう。
「いつから?」
香子は尋ねる。
「一年前からだ」
「どこの女?」
「会社のパートさんだ」
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