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こちらも、別にダサくはない。むしろ、いい。体型がシュッとして見えるように巧く計算された、実に見事な出来だ。
しかし、胸元は、ネクタイ。
濃紺色の、ほぼ黒に近いネクタイだった。
理都はそこだけいつも不満である。男子はネクタイ、女子はリボン。女子はネクタイでも変に見えなくて、男子はリボンをつけられない。なぜだ。性差の違いはどこからくるのか。
「リボンつけたい」
理都は誰にも聞こえないように、ごく少量のボリュームでボソッとつぶやいた。
理都は、リボンが好きだ。
その他、ハートマークや、キラキラしたもの、小物類、雑貨類……。およそ「女の子」が好みそうな対象物を、丸ごと愛している。
音羽理都は、男子だが、可愛いものを身に着けたい。
誰にも言ったことはないけれど。
🏫
理都は自身の性別に違和があるわけではない。男に生まれた自分をそのまま受け入れている。「少女趣味」といわれることが怖いだけだ。
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