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向田葉菜だ。女子グループの中心的人物。
別名、女子のボス猿。向田ボス。
――やばい、聞かれた。思いっきり。
理都は普段使わない脳みそを必死にフル回転させて、窮地を脱出する方法を考え抜いた。
(今のは俺の言葉じゃなくて、演劇の台詞の練習で。いや、誰も信じないだろこんなの。もっとうまい嘘を……!)
「リボン好きなの、あんた?」
向田は単刀直入に聞いてくる。変に構えないところは彼女の美点だが、今それをやられると反応に困ることこの上ない。
「いや、え、えっと」
理都はきょろきょろと逃げ場所を探して目をうろつかせる。穴があったら入りたい気分だ。
だめだ。まったく気の利いた嘘が思いつかない。自分のポンコツな頭は緊急事態の時でもポンコツなままらしい。
「む、向田。これには深いわけがある。俺は決して変態じゃない」
「別に変態なんて思ってないよ」
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