40 ウォーレン公爵夫妻

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 高い天井に豪華なシャンデリア。花瓶に生けられた花たちは瑞々しく咲き誇っている。  普段ならば訪れる人の目を楽しませているであろうそれらは、緊張している私には威圧感を与えた。  ごくりと唾を飲み込んで、使用人の誘導に従って歩く。到着した部屋の前でもう一度深呼吸をすると、ルーが私に安心させるようにほほえんで背中をなでた。 「入るよ」  ルーの手でゆっくりと開かれた扉の向こうには、威厳のある背の高い男性と、おだやかそうな美しい女性が座っていた。ルーの両親のウォーレン公爵夫妻だ。ルーの色味は父親似で顔だちは母親似のようだ。 「ソフィア嬢だな。はじめまして。わざわざ会いに来てくれたこと、感謝する。そのソファーに座るといい。ルイスもその横に座りなさい」  2人で並んで座り、ウォーレン公爵夫妻と向かい合った。 「お初にお目にかかります、ソフィア・フェルノと申します」  緊張で声が震える。手や足も震えているのを感じる。これほどに緊張したのは生まれて初めてだ。  ルーからは両親との仲はそれほど良くはないと聞かされていたから、なおさらだ。 「父上、母上。私はソフィア嬢と結婚します。既に許可もいただきましたし、問題ありませんよね?」  ルーは少し刺々しい雰囲気だ。今さら反対されてはたまらないと、一刻も早く言質を取ろうとしているのだろうか。  ウォーレン公爵家当主は「ああ」とルーに頷き、私に視線を向けた。 「ソフィア嬢。我が息子を選んでくれてありがとう。何度婚約者を決めようとしても学園卒業を待ってほしいと言われていたから、心配だったのだ。どうしても会いたい人がいる、身分は分からないなどと言うものだからな」  ウォーレン公爵がふっと口角を上げた。 「ソフィアさん、会えて嬉しいわ」  公爵夫人がにこりと親しげに笑いかけてくれる。 「ルイス、少し三人で話したい。外してくれないか」
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