2 友だちがほしい

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 そんなことを考えながら沈黙していた私を見つめて、ルイスはまた悲しいそうに口を開いた。 「こんなことを平民の君に言っても、困らせてしまうだけだよね。ごめん。今の話は忘れてほしい」  そう言ってどこかに去って行こうとするルイスに、私は慌てて声をかけた。 「わ、私も友だちがいないんです」 「え?」  ルイスが足を止めて振り向いた。引き止められたことに少し安心しながら、私はスカートの裾を握って目をぎゅっと瞑り、思い切って言った。 「私も友だちがほしかったのです。ですから、私でよければ、お友だちになってくれませんか!」  ルイスは公爵令息であるため、私に遠慮せず話してくれる友だちになってくれるのではないかと思ったのだ。それに、ルーとならきっと仲良くなれると、なぜか確信していた。  目を瞑ったままの私の耳に、震えた声が聞こえた。 「本当に? 僕と友だちになってくれるの?」  ゆっくりと目を開けてルイスを見ると、目を見開いたルイスの顔が見えた。私はそっと答えた。 「公爵令息のあなたの友だちが私でいいのなら」  ルイスの目が、少しずつ輝いていく。 「いいに決まってる! なら、敬語はやめて楽に話してくれないかな。僕のわがままかもしれないけど、身分なんて気にせずに話したいんだ」  私は少しだけためらった。友だちになるのはともかく、敬語を使わないなんて……。でも、それ以上に親しい友だちが欲しいという思いや、ルイスの思いに応えてあげたいという気持ちの方が強かった。 「いいよ」  私はにっこりと笑った。そして、少しだけ勇気を出して、言ってみた。 「ルーって呼んでも、いい?」  何年か前に本で読んでから、友だち同士で愛称で呼び合うことに憧れていた。せっかく初めての友だちができたのだから、愛称で呼んでみたい。そう思った。  ルイスは、呆気にとられたような表情をした。返事を待っていると、ルイスの瞳がきらきらと光って。  その光が、ぽろりと瞳からこぼれ落ちた。
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