4 早く会いたい

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4 早く会いたい

 たったの数時間話しただけの関係なのに、私にとってルーの存在は大きなものになりつつあった。  侯爵令嬢としての身分に気をつかい気をつかわれることなく話すことができる人は、今までは家族しかいなかった。マリーやニックをはじめとした使用人たちは私をかわいがってはくれるけれど、彼らにとって私は仕えるべき主人であるため、ある程度の距離を保ち、それを崩すことはない。  ルーは私と同じ10歳だった。私とお兄さまは7歳離れているため、私にとって同年代の人と気楽に話すのは生まれて初めての経験だった。ルーとの友だちとしての対等な関係は、想像していた以上に心地よいものだったのだ。  私はルーにまた会える日が楽しみでしかたがなかった。早く1週間が経たないかと毎日ずっと考えていたからか、食事をしていても、庭を散歩していても、本を読んでいても、あまり集中できなかった。  そしてとうとう、約束の日が来た。私はそわそわしながら支度をして馬車に乗り込んだ。  ようやくルーに会える。  高揚する気持ちが抑えられずに馬車の窓の外を流れる景色を見ながら鼻歌を歌っていると、横から視線を感じた。そちらを見てみると、マリーが優しい目で私のことを見ていた。私は少し恥ずかしくなって赤くなった。
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