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「ルーを産んだ後、お医者さまに2人目を望むのは難しいと言われてしまってね。たった1人しかいない息子を病気一つせず健康な体で、公爵家の当主を継いだ後も苦労することがないように立派に育てることに、私も夫も躍起になってしまったのよ」
お義母さまは目を伏せた。お義父さまもため息をついた。
「教育ももちろん大切だけど、ルイスに愛情が伝わるように関わってあげることも大切だったのにね」
「ルイスと私たちとの間で板挟みにしてしまうこともあるかもしれない。私たちがルイスとうまく関係を築けなかったばかりに。申し訳ない」
私は思わず、首を強く横に振った。
「きっと、まだ間に合います。お二人が今私にお聞かせくださった思いをルイス様に正直に伝えれば。ルイス様はまだ、家族から愛されることを夢見ているように思います」
「そうだろうか……」
弱気なお義父さまに、力強く頷く。
「きっと大丈夫です」
お義父さまは弱々しく笑って「ありがとう」と手を差し出した。その手を握り返していると、ドアがバンッと大きな音を立てて開けられた。
「まだですか、もういいですよね!?」
私のことが心配で、我慢できずにルーが戻ってきたようだ。ルーは私とお義父さまが握手している様子をぽかんと口を開けて見た。
「いったいなにが……?」
私はルーに満面の笑みを向けた。
「お義父さまもお義母さまも良い方ね」
「え、いつの間にそんな呼び方に?」
目を白黒させるルー。ルーとご両親の関係が長い年月をかけてでも良好になるといいなと、私は願った。
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