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3 はじめての友だち
私たちは、それから長い時間、飽きもせずにずっと話していた。好きなことの話、嫌いなものの話、家族の話。それ以外にもありとあらゆる話を。話の途中で同い年だと分かってからは、さらに距離が縮まったように感じた。
私は平民のふりをしなければならなかったから平民らしくないことを極力言わないように意識したけれど、嘘はできるだけつかないようにした。
気がつくと、空が赤く染まってきていた。
「そろそろ帰らなきゃ」
ルーが立ち上がった。私もルーに合わせて立とうとすると、ルーが自然な動作で手を貸してくれた。ありがたくお借りして立ち上がりお礼を言うと、ルーはにっこりと笑った。
名残惜しくて、話しかけた。
「このつぼみ、いつ咲くのかな。ルーはどんな花か知ってる?」
「ううん、知らない。咲いたら見てみたいな」
沈黙が流れた。2人同時に話しだそうとしてゆずり合う。ルーが苦笑した。お互いに、お互いの言いたいことはなんとなく分かっていた。
「また会える?」
ルーが代表して口を開いた。
「もちろん! 私はいつでも会えるよ」
私は笑顔で答えた。
「僕が次にここに来れるのはちょうど1週間後なんだ。これから毎週、この曜日に会えないかな」
1週間後、少し遠いけれど。定期的に会う約束ができたことに、そしてルーもまた会いたいと思ってくれていたことに、喜びがあふれた。
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