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プロローグ
12月、寒い風が僕の頬を刺す。深夜誰もいないプラットホームで、、、気が狂っていたのだろうか。「ハハッハハッ」独裁者の様な笑い。迫り行く電車の音、近づく度に胸の心拍数が高まる。心は脳の信号なのだろう、危険だ。貨物電車の光が見える、駅のホームを通過しようとする手前で、体の重心を線路側に傾けた。僕はその時の脳内で(やっと死ねる。この世に後悔と未練は残してしまうけど。でも、一人減った所で誰も気付いてはくれないだろう。さようなら。)と走馬灯が走っていた。警笛と共に電車は通過した。目を覚ます。生きていた。左手に強い圧力と引力が掛かった。
「何をしている💢死ぬところだったんだぞ💢」
僕は駅員に助けられたみたいだ。駅員は怒号を飛ばす。
「どうしてこんなことしたんだ💢」
僕はその一言に、涙を零した。
「すいません。すいません。」
僕の状況や精神面を理解してくれたのか、駅員は取り敢えずホームのベンチに僕を誘導した。
「で、どうしてこんなことをしたんだ?」と駅員が自殺しようとしていた理由を聞く。僕は泣きながら重い口を開いた。「生きるのが辛かったんです。自分が醜くて弱かったんです。」とそれを聞いた駅員は、「そりゃ生きていたら、辛い事なんて沢山ある。俺もだった。でもそれを俺は乗り越えて、この前大切な人と出会えて…結婚した。」その人の右手には、綺麗にくすんですらいない結婚指輪がつけられていた。20代後半なのだろうか幸福なのは良い事だが、僕はその話を聞いて涙した。先ほどより重い受け止めきれないほどの涙を流した。
「実は自分失恋したんです。好きだった人に好きを打ち明けれなくて…気付いたらもう遅かったです。」
それを聞いた駅員は、「そうか、すまなかった。」と先ほどの話のことを謝った。
僕は「良いんです。」と答えた。そのまま駅員は僕の容姿を見て述べた。
「もしかして、その黒色の学ラン。金色の校章がデザインされたボタン。君はそこの古保中学の学生か?」聞かれた僕は頷いた。駅員はそのまま話す「やっぱり。俺そこの卒業生なんだよ。女子はあれでしょ?紺色?若干憂鬱的な青色のセーラー服でしょ?」とどうやら卒業生なのは間違いない。伝統的な制服を知っているから…。今は市内制服統一制度が始まり、学ランやセーラー服の概念が捨てられた。ブレザー制服や私学のお嬢様学校みたいな制服が登場した。僕らはその制度が始まる前に入学した…。
「もし、話せるならその話を聞くぞ。」
駅員が相談に乗ってくれた。僕は話しても意味がない、でも、話したら楽になるのだろうか、、、駅員にその出来事を話した…
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