ラジオネーム「テキーラご飯」

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杉谷さんのことを調べて数時間。 社畜の私は、今日も定時を大幅に過ぎて帰宅だ。 あ〜〜〜疲れた。早く横になりたい。 そう思いながら、疲れた体に鞭を打って、自宅のあるマンションの一室まで、なんとかして向かう。 鍵を開けて、玄関へ入ると、もう動けない。 あぁ、ダメだ。今日はこのままここで寝る……。 「こら、真冬、ここで寝るな。」 「……綾人。」 「おかえり。ご飯もお風呂もすぐ用意できるから、ここで寝るな。」 「……ん〜もう動けない〜〜。」 「あっ、おい!……ったく、仕方ないな……ってこれ、毎回言ってる気が……」 もう疲れた体を動かせないのだから、仕方ない。 そのまま綾人の言うことを無視して目を瞑ると、怒りながらも私を抱えてリビングへ向かってくれる。 なんとも世話焼きな彼氏だ。帰宅するたび、毎回同じやりとりしてるくせに、私のことを放っておかないから、私がダメになる。 ……ときめかなくなってしまったのも、きっと、私を甘やかすからだ。 ぜんぶぜんぶ、綾人のせい。 「スーツ、しわになるぞー。」 「うーん……」 「……真冬。」 「あ〜、分かった分かった!やるからやるから。先に少し寝かせて。」 「……はぁ。」  こんなやりとりを毎日しても、私に飽きないで尽くしてくれる。 誰だって、好きな人のこんなところを毎日見たら、嫌になるに決まってるのに。 綾人は、こんな私を見ても、呆れながらもずっとそばでお世話してくれる。 こんなに素敵な人なんだって、分かってるのに。 なんで、ときめかなくなっちゃったんだろう。 「……起きてるなら、風呂入りなよ。」 「……目、開いてるだけ。寝てる。」 「なんじゃそりゃ……あ、そういえば。真冬、明日は土曜日だけど……予定は?」 「うーん……仕事、かなぁ。」 「え、土曜日なのに?」 「案件溜まってて。休日返上しないとやっていけないレベル。」 「……そっか。」 「……」 土日も仕事がある彼は、同棲し始めてからは特に、土曜日もしくは日曜日のどちらかの休みを、月に2回合わせてくれるようになった。 だけど、なんとなく彼と1日を過ごすのは苦手になってしまって……最近は仕事のふりをするようになってしまった。 案件が休日返上しなきゃいけないくらい溜まってるのは本当だけど……同棲したての頃なら、仕事がたまっててもデートしたはずなのになぁ。 ……なんて考えながら、綾人の悲しい表情には気づかないふりをして、また目を瞑っていたら本当に寝てしまっていたようだった。
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