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ある日職場で発注ミスをしてしまった。みんな私に怒らない。けれど、忙しそうに走り回ったり、ため息をついたりしていた。
ただでさえ子供の熱で急に休んだり、迷惑をかけているのに、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
先輩の質問に関し、はっきりと答えられない自分にも落ち込んだ。
自分は能力がなく、働くことに向いてない人間なんじゃないか。
珍しくナーバスになりながら家に帰った。
リビングへ入ると朝とまったく変わらない状態で相変わらず散らかっていた。
いつもなら気になって服をかけたりオモチャを片付けたりするのだけど、とてもする気にはなれなかった。
食事中、夫が私の好きなテレビ番組を付けてくれ、なんとか気分が上がってきた。それでもやっぱりへこむものはへこむ。
娘が絵のプレゼントをくれ、少し心が和んだ。
入浴をして、子供が眠ったことを確認し、今日なぜミスをしたのか振り返る。
少しでも仕事の役にたてるように、今後の段取りを組んでいると、日が変わりそうな時間になっていた。
寝室は寒かった。一度自分の布団に入って疼くまったけれど、無性に寂しくなって、隣に寝ている夫の布団の中に「さぶ」と言って入り込む。
横を向いている背中にそっとひっつくと、くるりと振り返り布団と手を広げ、そのまま私を取り込んだ。
あったかい。夫の胸の中で、少し泣いてしまいそうになる。
どういうことだろう。よしよしと頭も撫でてくれる。
このまま眠れそう。と安心していると、しばらくして、パジャマの中に手が入ってきた。
あ。そっちだったのか……。
私の心を察して慰めてくれているのかと思ったけど、少し違ったみたいだ。もう、なんだか笑えてきた。
究極に疲れているし、気分じゃないけれど、久しぶりだし断ることもしなかった。
ねぇ、絶対わざとじゃないと思うんだけどさ。
どうしていつも、早出の前の日なん。
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