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「お母さん、お友達と遊んでくるね」
子供達にそう言い残して、私は出かけていった。
誰と約束していたわけでもなかった。ただ、昨日の仕返しがしたかった。私が帰ってこなかったら少しは焦るかな?なんてひねくれたことを考えていた。
とりあえず、適当に電車に乗って街をうろついた。
休日のデパートは人で溢れかえっていた。それでも今日の私は一人だから、とても余裕がある。
ゆっくり服を見て、気に入った物を一つ買い、化粧品を試し、イタリアン料理店でご飯を食べた。普段できないことを時間をかけてしたのに、まだ三時間しか経っていなかった。
コーヒーショップに入って本を読んで、午後9時ごろ、ネットカフェに向かった。
夜通し漫画を読んでやる。明日の始発で帰るんだ。
チラリと脳裏に、昨日の夫の悲しそうな顔が浮かんだけど、すぐに掻き消して、ネットカフェの受付けをした。
久しぶりに来たネットカフェの設備に驚いた。女性専用エリアがあり足も伸ばせて、シャワーがあって。
充実した時間を堪能していた私だけど、パソコンに記された時刻を見て急に居た堪れなくなる。
午後11時半だった。もうすぐ終電が無くなる。胸がソワソワして、その後、5分おきに時間を確認した。
子供達がとても心配になってきた。
夫からメッセージがきているかもしれないけれど、確認するのを躊躇してしまう。
今になって罪悪感に駆られる。私は、そうちゃんに言ってはいけないことを言ってしまった。
スマホの待ち受け画面の子供たちに見つめられる。
やっぱり、帰ろう。
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