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けれども、私にはかつて「夢」があったことを、こうして心を動かされる写真を見るたびに思い出し、今でも胸にチクッとした痛みを感じる。 画面いっぱいに広がる美しい空の写真。 私はいつかフォトグラファーとして、こういう写真を撮りたいと思っていた。 ––– 夢を語れるのって格好いいと、俺は思うよ 誰もいない放課後の教室。 まともに話したこともなかった「彼」がそう言ってくれた。 十年前に向けられた言葉は、今でも色褪せることなく心に残っているけれど、その夢は随分と前に諦めてしまった。 努力である程度の技術は身につくものだけれど、持って生まれた才能には敵わない。 そんなことを思い知らされた四年間は、憧れを形に変えることができずにいた淡い初恋を、幾度となく彷彿とさせた。 「彼」とは卒業以来、一度も会っていないというのに。 「……まるちゃん、どうかした?」 「あっ、いえ……なんでもないです」 三矢先輩の声で過去から現実へと引き戻され、胸には微かに痛みが残っていたが、目を閉じて深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。 この仕事は好きだし、現状には満足している。 それでも過去を顧みるたびに、あの時もう少し頑張っていれば、違った未来が待っていたのではと考えてしまうこともある。 だからと言って、過去に戻って「さあ、思う存分にやり直しちゃってください」と言われたところで、実際は戸惑うばかりで何も出来ないだろうし、そもそも今の私には非現実的すぎる想像に浸っている余裕はなかった。
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