第二章

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「佐田様、本当にあの者を昇進させるのですか」 その時、松神様と栗神様と俺が佐田様に呼ばれていた。 「仕方なかろう。天ノ大神様(天ノ大神様)のご命令じゃ。何より、奴は渚男ノ尊神様(ナギサオノミコトシンサマ)の子孫にも当たるからな。そのご令嬢で有らせられる天ノ大皇神様のご命令を無視するわけにはいかんわい」 天ノ大皇様は凄いお方で、何人もの人を神様として昇進させて来たお方だ。天ノ大皇神様が昇進させた神様として代表的なのが千穂神(チホノカミ)、山木神(サンキジン)、桃実神(トウミノカミ)だろうか。神様になった後もよく働いている。 「直神(ナオガミ)はどう思う」 多分、ことの議題に上がっている井上龍実が俺の元妻である千穂神の親戚であり、あの男が何処となく俺が世話をしていた頃の山木神に似ているからだろう。 「天ノ大皇神様の命でしたら昇進させる他ないでしょう。どうせ、神様になるのでしたら、どうでしょう。千穂さんの元で修行させると言うのは」 千穂神はとても怖い女だ。だが、それ以前に頭が切れる女神で天罰の神をしている。その他お手伝いをしているので、神様の間では総合の女神様と呼ばれ、手が足りない場所を手伝っているようだが、追加でうちもと言う意見もあるくらい優秀だ。その上新人の教育係もしている。 「何を言い出すのかと思ったら、直神。それだけはいかん。千穂神の下に付くなど死刑も同然」 千穂神頭が切れるが故に、たまにとんでもないことをやって除ける。その上怒らせるととても怖いのだ。 「でも、鍛えるのには丁度良いのではないでしょうか」 佐田様は少し悩んだように見えたが了承してくれた。 「さて、話し合いは以上だ。名前は栗神殿が考えた樟神(ショウガミ)と名付けよう」 案外話し合いは簡単に終わった。だが、今日がXデーになるなどとは俺は知る由もなかった。
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