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「あっあの!!」
後ろから大好きな声がして俺は振り向く。
俺より背の高い真斗がそこに立っていた。
「…病院行きなよ」
「っ、ちが、いや違くないんですけど…えっと…助けて、くれて…ありがとうございます…」
顔を真っ赤にしてそう言う真斗。…なんか、俺の魔法少女姿に惚れてない?
…まあこんな格好良く助けられてこんな可愛い女の子だったら惚れるよねそうだよね。
なんかめっちゃ、複雑。
「…どういたしまして。それじゃね」
「あ、あ!れ、連絡先、とか…」
「………魔法少女だから、秘密」
俺はそれだけ言うと格好良くその場から離れて、うっ、と心の中で泣いた。
『本当のこと言っちゃえばいいじゃねえか』
「…、バラさない方がかっこいいじゃん」
嘘。だって、真斗にバレたら軽蔑されるかも、もう好きじゃないって言われるかも。
マンションの屋上で俺は魔法ステッキを眺めた。
「これどうやって変身とくの?」
『このボタン押す』
ちょいちょいとステッキを指差して支持するきらり。俺はそのボタンを押して魔法を解いた。
「あ、真斗病院行ったって」
『よかったな』
俺たちは2人でマンションを降りて道路を歩く。
「てかあんたどこまで着いて来るの?」
『契約切れるまで』
「……、え家来んの」
『もちろん。』
「服着て」
俺は病院に真斗を迎えに行って1日を終えた。真斗はどこか上の空だった。絶対、俺の魔法少女バージョンのこと好きじゃん。
その日の夜、俺の布団でふるちんで寝ている大馬鹿きらきら公然猥褻がいた。
飯を食って良い気分だったのにふざけんな。
俺はきらりを思いっきり蹴飛ばした。
『布団温めといたゼ☆』
「いらん服を着ろ不快だ」
俺が自分の服を手渡せば悲しそうにそれを着た。
『…きついな』
「てめえがでかいだけだろ我慢して」
むちっと筋肉質な身体が浮き出ている。やめてよなんかうざい。
「ねえ夜はモンスター出ないの?」
『出ない出ない。モンスターは月明かり敵だから』
そう言って俺の本棚からエロ本を引き抜いて読んでいる。普通モンスターって太陽苦手なイメージあるけどまあブリキュアとかもいつも朝戦ってるよなぁ、でも俺休日とか朝起きないタイプなんだよなどうしよ。
その次の次の次の次の放課後も、真斗と一緒に下校し、公園のベンチでハンバーガーを食っている。
「……聞いてる真斗?」
「えっ、あ、なっ何!?」
驚いた様に反応する彼はあの事件があってからずっと上の空だ。
「真斗どうしたの?最近」
「えっ、………、え、と…」
恥ずかしそうに真斗は俺に聞いてきた。
「あの…、俺…一目惚れ、って言うのかな…したみたいで…」
美少女の俺にね?
「……あいては誰なの?」
「…ま、魔法少女の、女の子…でもあの子は正体を隠してるみたいで、調べても出て来なかった…」
魔法少女のほとんどは目立ちたいとか、ビジネスの為に自分が魔法少女だと明かして魔法少女アイドルとかやってる子もいる。
「……あ、そう」
「っ……ま、まろちゃん。探すの手伝ってくれる…!?」
ぎゅっと俺の手を握って顔を赤くしてそう言う馬鹿。なんで俺だって気づかねえんだよ。この鈍感。
「…んー、うん。見た目は?」
「ピアスがたくさん開いてて…グレーの魔法少女だった。……、なんか、まろちゃんに似てる」
………バレたか?
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