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「何ひとりで浸ってんだし?」
背中を叩かれ、低音な奇声を上げる私。叩いたのは私の友達であり部活仲間の水沢真子だ。こいつギャルなのに頭良いんだよな。ちょっと腹立つが、私にとってフラ部再設立の恩人であり、友達思いの良い奴なのだ。小月ちゃんとの距離感が近過ぎなのは気になるが、まぁ良いだろう。
「で?何ポヤポヤしてんだし?」
「ポヤポヤって何?」
「だらしねー顔してんぞ?」
「いやぁ、後輩が出来るかと思うと嬉しくてさ~」
「後輩ねぇ?」
「私は後輩に慕われる素敵な先輩になる!」
「奈瑠美さんならなれますよ」
「小月ちゃん!?おはよう!」
「おはようございます」
真子の後ろから顔を出したこの子は花守小月ちゃん。可愛くて小柄な小動物系女子だ。男子の間で密かに作られた女子ランキングで、守ってあげたい女子一位らしい。
フラガールズ甲子園の後、何人の男子が彼女に告白した事か。結果は男子の惨敗だが。彼女には心に決めた相手が居るようだ。しかし誰にも教えてくれない。まぁ別に構わない。詮索するのは野暮ってもんだ。
私はと言うと江藤との関係はまぁまぁだ。あいつは相変わらずデリカシーが無いし、たまに別れようかと思う事もある。それでも関係を維持しているのは、あいつの優しい一面を知っているからなのだが……。
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