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繰り返されるフォーメーションのレッスン。美薔薇ちゃんも麗愛ちゃんも、疲れを知らないように息が乱れていない。私はヘトヘトになりそうだと言うのに、何ちゅう体力じゃ?これでは先輩としての立場が……。後輩に負けぬよう、自主練で走り込みを増やすか?
「はい!今日はここまでにしましょう。皆さんお疲れ様でした」
レッスン終了を告げる言葉と、手を叩く音が教室に響く。コーチの退室と同時に、大きく息を吐く音が連鎖した。美弥さんと麗愛ちゃんを除いて──。
「あなた達、これしきでバテるなんて先輩として、だらしなくてよ」
「ミヤ厳し過ぎ~」
「いくら先輩になったからって、あーしら人間だってーの。そう思うべ?奈瑠っち」
同意したい所だが、美弥さんの言う事も尤もだ。やはり先輩として、後輩に尊敬されるようにならなければ。
「いや、美弥さんが正しいと思う。そりゃ人間だもん、疲れを態度に出すのは仕方ないけどさ。先輩として後輩に恥じない姿で居たいじゃん?」
この言葉が、真子とソフィアから感嘆の息を出させた。我ながらイケメン発言だと思う。
「奈瑠美部長、カッコいいです!カトレアもそう思わない?」
「そ、そう?」
拍手する美薔薇ちゃんに、照れながらニカッと笑うと、麗愛ちゃんの氷のように冷ややかな視線を感じた。
「部長……台無しですね。私達の前で言わなければ、カッコ良かったと思います」
麗愛ちゃん辛辣!
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