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3月 全ての始まり
3月 31日
短い春休み真っ只中だというのに
今日は学校に行かなければならない。
クラス発表と教科書の配布日だからだ。
友達の八田 亜里沙は、優雅に家族旅行中だから、一人で行かなければならない。
新学期からは、とうとう中学3年生。 受験に突入だと言う憂鬱も加わって足が重い。
廊下に貼り出された、クラス発表の紙を丹念に見て、自分の名前を探す。
野田 恵美子
あった。
3年3組だ。
50音順に並んでいる名前の一覧表を上から見ていく。
その5行目に、恵美子の視線が釘付けになった。
水口 修 みずぐち おさむ
その文字をじっと眺めているだけで、幸せが満ち溢れてくる。
中学最後の年に、彼と同じクラスになれるなんて奇跡だ。
何しろ、恵美子が通う、泉台中学は、金沢一のマンモス校だ。
新3年生は、45人×17クラスで、
1学年の総人数は765人にもなる。
内、半数が男子だとしても約380人。
その中で、同じクラスになれる確率は相当低い。
もう、万歳したい位嬉しい気持ちで、この時ばかりは、神様に心から感謝した。
受験生の憂鬱も、教科書の重みも一気に吹っ飛んだ。
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