2-6.カルナックと陰

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 ジャーファルと共にする翌日の朝食の席、ジンジンと沁みてくる手の甲の痛みを我慢しながら食器を使う双子の姿があった。 「ちゃんとなさい!姿勢は正しく!」  ニルミンが懲罰棒を鳴らしながら双子に小言を垂れる。 「…だったらこんな思いっきり叩かなくても…」 「イタイヨー…」 「ジャーファル様がすでに罰を下したとおっしゃるからこの程度で済ませたのです!本来であれば王子の寝室に忍び込むなど処刑ものですよ?!」  全く反論できない。  王子の寝首を掻きに行ったと疑われても仕方のない行為なのだ。  冷めた頭ならわかるが二人合わさるとなぜか思考がアンチュに引っ張られてしまう。  今は自分がアンチュの陰なのではないかと、隣で涙を浮かべながら咀嚼する妹を見てカルナックはため息をついた。  その向こうでは何事もなかったように静かに食事するジャーファルの姿がある。服の下であの柔らかいものを圧し潰しているかと思うとカルナックの胸も苦しくなった。  何か言わなければ、問わなければと思考がまとまる前に、ニルミンの大げさなため息が聞こえた。 「…まあ、あなた方にはそろそろ言わなければ、と思っていたことですけどね…」  口止めされるのかと思ったのに意外な温情だった。 「お二人とも、やらなければならないことはわかりますね?」 「守る!ジャーファルのこと、命に代えても守る!」  カルナックは即答するとジャーファルの傍により、その肩を掴んだ。  思った以上に細く、目の前で驚いた顔が本当にかわいい。  初めて会って恋に落ちたあの時のように、カルナックの顔は真っ赤になる。  気が付いたらさらしに押しつぶされた胸を撫でていて、次の瞬間宙を舞っていた。 「…命もいらない。私より弱い男に守ってもらおうとは思わない」  冷たく見下ろされるこの感覚も嬉しくてたまらない。 「強くなるよ」 「期待してない」  仰向けで転がったカルナックを助けることなく、ジャーファルは食事に戻った。  アンチュは手の痛さとカルナックの面白さに酸っぱい変な笑い顔でふるえ、食事を進まなくしていた。  その顔が面白くてジャーファルが噴き出した。  何かを思い出したようにカルナックに話しかける。 「ところでカルナック、なんでも言うこと聞いてくれるんだよね?」
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