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陽だまり
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「……あ、ごめん。寝ちゃってたね」
気がつけばすぐ横に佐江子の姿があって、それにまた安心してあくびを一つ。
「はい、どうぞ」
まだ寝ぼけ眼な僕を見て小さく笑うと、佐江子は用意していたサンドイッチのお皿と淹れ直したコーヒーを置いてくれた。
なんとなく、瞳が潤んでいるような気がするのは、気のせいだろうか?
いつも苦労をかけてしまっているのは、本当にすまないと思っていても、つい、佐江子の優しさに甘えてしまっている。
「いただきます」
「はい、どうぞ」
店内には、カップを持ち上げた時のカシャッと小さな物音だけ。
静かな朝。ようやく、窓から朝焼けがふんわりと店内に差し込み始めた。
「佐江子の厚焼きたまごって、美味しいよね」
いつも思っていた。今まで食べて来たたまご焼きのどれよりも美味しいと。
確か、初めて作ってくれた時も言ったのかもしれないけれど、改めて思う。
佐江子の料理は美味しい。
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