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一頻り遊んで、僕らはまたベンチに戻った。
ふーっ、と長く息を吐くと、男の子は僕の顔を覗き込んだ。
「つかれた?」
「まあね、僕は大きいから」
「ふうん」
と男の子が口を鳴らしたので、僕はぎょっとした。
「僕の真似か?」
「いひひ」
「辞めたほうがいい、老けて見えるぞ」
「ぼく、もう六さいだもん」
「まだ六才だって」
「おじさんは、なんさい?」
「五十だ」
「おじさんだあ」
僕がベンチで休んでいる間、男の子は砂の上に落書きを始めた。その様子をぼんやり眺めていると、男の子は地面を見つめたまま言った。
「おじさん、びっくりしないんだね」
「何が?」
「六さいのぼくと、あえたこと」
「まあ、そういうこともあるのかなってくらいだよ」
「そういうこともあるの?」
「知らない」
「大人なのに」
「大人はなんでも知ってる訳じゃない」
「そうなの?」
「そうさ」
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