『第二部 比翼連理 第三章 綾模様の流れへ』のあらすじ

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『第二部 比翼連理 第三章 綾模様の流れへ』のあらすじ

 この作品は、『天と地が手を繋ぎ合うような奇跡の出逢いは、仕組まれた運命の輪環を廻す(第二部 比翼連理 第三章 綾模様の流れへ)』( https://estar.jp/novels/26170222 )の続きとなっております。  また、物語全体のはじまりは、『天と地が手を繋ぎ合うような奇跡の出逢いは、仕組まれた運命の輪環を廻す(第一部 落花流水 第一章 桜花の降る日に)』( https://estar.jp/novels/26084370 )です。  よろしくお願いいたします。 〈(ムスカ)〉の潜伏場所を見つけられぬまま、時間だけが過ぎていた。そんなある日、リュイセンは〈(ムスカ)〉の記憶と肉体の年齢がずれていることに気づく。だが、それが何を意味するのかは分からなかった。  一方、メイシアは、少女娼婦スーリンに呼び出されていた。ルイフォンを巡る横恋慕としか考えられず、ルイフォンはメイシアに「行くな」と止める。しかし、メイシアは「恩人であるスーリンと、これきりの縁にしたくない」と、彼と喧嘩までして出掛けたのだった。  スーリンと仲良くなりたいと言いつつも、「ルイフォンは私の男です」と啖呵を切るメイシア。呆れ返ったスーリンは「自分はルイフォンを励ますために元気な少女を演じていただけで、本当はずっと年上だ」と言う。  そして、メイシアを呼んだ本当の理由は、「ルイフォンの異父姉、セレイエのことを話すためだ」と告げた。  四年前。母を失ったばかりのルイフォンは、娼館の(あるじ)シャオリエに預けられていた。そして、抜け殻のようだった時期の彼の世話をしたのがスーリンだった。  ある日、ルイフォンのもとにセレイエが訪ねてきた。邪魔をしないようにスーリンは隣室に控えていたのだが、彼のうめき声に心配になって駆け込むと、部屋の中は熱気と光にあふれていた。それが収まると、〈天使〉の姿をしたセレイエと、意識を失ったルイフォンがいた。  見てはいけないものを見てしまったと思ったスーリンは「誰にも言わない」と誓うが、セレイエは「しばらく内緒にしてくれれば充分」と答える。それから、「遠くない将来に、ルイフォンはひとりの女の子と出逢う」と、予言めいたことを告げた。  その女の子が持っているという『目印のペンダント』をメイシアは『お守り』と信じて身につけていた。記憶を操作する〈天使〉の力によって、そう思い込まされていたらしい。そしてメイシアは、ルイフォンとメイシアが出逢った事件は『ふたりが出逢うために』仕組まれたのだと感づく。  スーリンの話が終わったとき、メイシアを心配して追いかけてきたルイフォンが乱入してきた。ルイフォンはきちんとスーリンと言葉を交わし、スーリンは「メイシアとは友達になった」と答える。  ルイフォンとメイシアを帰したあと、スーリンは今回の騒動の黒幕であるシャオリエに「大女優の器だ」と称賛された。スーリンは、ルイフォンへの恋心を演技で隠し、彼の幸せを願っていたのだった。  帰り道、ルイフォンとメイシアは、〈(ムスカ)〉の部下となっていたタオロンと遭遇する。彼は、メイシアの父が〈(ムスカ)〉の犠牲となったことを土下座して詫び、セレイエの〈影〉であったホンシュアからの「幸せになる道を選んで」という遺言を伝えた。  しかしタオロンは、娘が人質になっているために、〈(ムスカ)〉の命令である『メイシアの誘拐』を実行しようとする。それを阻んだのはメイシアに護衛として雇われていた、もと一族のシャンリーだった。彼女はタオロンに「お前の娘を助けてやる」と誘いかけ、彼にGPS発信機を持ち帰らせる。そのことによって、〈(ムスカ)〉の潜伏場所が判明した。 〈(ムスカ)〉の潜伏先が分かったことで、ミンウェイは衝撃を受けていた。父を生き返らせた『もの』である〈(ムスカ)〉の『死』が迫っていることに動揺していたのだ。そんなとき警察隊のシュアンが現れ、彼女の話を聞く流れになった。  シュアンは「ミンウェイは『温かく迎えてくれた鷹刀一族への遠慮』と『ずっと一緒にいた父親への情』の板挟みになっているだけ、負い目に思うことはない」と言う。彼女は、誰ひとり傷つかない『穏やかな日常』を望んでいるだけなのだ、と。  そう言われたミンウェイは、まだ父が生きていたころ『穏やかな日常』とは正反対の現実から逃げようと自殺未遂をしたことを、シュアンに告白する。そんなミンウェイに、シュアンは突き放すような言葉で手を差し伸べ、励まして去っていった。  実は、このやり取りをリュイセンが盗み聞きしていた。シュアンをミンウェイとふたりきりにすることを危険だと思い、監視していたのだ。彼はシュアンに「部外者が適当に分かったふうな口をきくな。ミンウェイに関わるな」と牽制し、「ミンウェイに、遠慮など要らないことを示してやる」と告げた。  ある日、リュイセンは、ミンウェイを彼女の両親の墓参に連れて行き、「父親はこの墓の下で眠っている。だから〈(ムスカ)〉に惑わされるな」と言う。それから「ミンウェイは、心の底では実の父親を愛していた」と告げる。けれど、それは彼女の環境からすれば仕方のなかったことだ、とも。  そして「結婚しよう」と切り出す。彼は彼女を想っていても、彼女のほうには彼に恋愛感情はない。それが分かっているリュイセンは、尊敬し合える間柄でよいと言う。総帥イーレオが一族を解体しようとしていることを伝え「俺を鷹刀最後の総帥にするために、俺を助けてくれ」と申し込んだ。
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