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だが、異形はそんな二人を見てにやりと笑った。
「現れたな、仮面フーフ!! 待っていたぞ」
「なんですって?」
「我が名は毒針鬼のゾク!! 我が毒針で、貴様らの絆を破壊しこれまで倒された我らが同胞の恨み、はらさせて貰うぞ!!」
恐ろしい事実だった。
異形改め毒針鬼のゾクの狙いはもとより仮面フーフだったのである。
「ねえ、罠だったって」
ちょんちょん、とヨイオットーの肩を指先でつつきながらヨイツマーが言う。
「も……問題ない叩き潰せばいい」
「わ、頼もしぃ。さすが私の愛する旦那様ね」
「……あ、ありがとう」
「あー、照れてるぅ?」
「か、勘弁してくれないか美玖」
「……呼び捨てはやだってばぁ」
メタリックレッドの拳がメタリックブルーのボディーにめり込む。
「ぐえっ……」
大きな体をくの字にし殴られた個所を抑えながら、ヨイオットーは数歩後ろにたたらを踏む。
「あ、ごめぇん」
「この……脳筋女……」
「んー、なぁに?」
体を折り曲げたまま、呻くように悪態をついたヨイオットーの顔をヨイツマーがのぞき込もうとした時だった。
「俺を無視するんじゃねぇえぇぇ!!」
叫び声と共に放たれたゾクの毒針が二人の体に襲い掛かる。
「しまっ……」
「きゃっ……」
針が金属に当たる甲高い音が繁華街に響き渡る。
その針は当たる当たらないなどお構いなしに次々と放たれ、二人の足元に着弾した針が石畳を削っていく。もうもうと巻き上がった砂煙はやがて二人の姿を覆い隠していった。
見えなくなってもお構いなしにゾクは毒針を放ち続けた。
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