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「あっ・・・この翼の生えた風船腹は?!」
「あっ・・・この長細い身体の先に生い茂る毛と団子鼻に伸びる髭は?!」
東洋ドラゴンのチョオは、西洋ドラゴンのラグナを見詰め、
西洋ドラゴンのラグナは、東洋ドラゴンのチョオを見詰め、
お互い、突き抜けた結界の中でじっと暫く立ちすくんだ。
「君は、ドラゴン?!」
「そういう君とドラゴン?!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「やっ・・・」
「・・・と、」
「会えたぁぁぁぁーー!!」
「逢いたかったぁぁぁぁーー!!」
東洋ドラゴンのチョオ、
西洋ドラゴンのラグナ、
東西の体付きが違ってもドラゴン同士の2匹は満面の笑みを浮かべ感極まり涙を流して、お互い抱きしめて戯れて一緒にランデブーして飛び回った。
「君もドラゴン!!」
「俺もドラゴン!!」
「ドラゴンだぁーーー!!」
「ドラゴンだぁーーー!!」
「君!格好いいーー!!」
「君も!格好いいーー!!」
「君の鼻ぷにぷにーー!!」
「君のお腹ぷにぷにーー!!」
「ドラゴンー!!」「ドラゴンー!!」
しかし、東洋と西洋のドラゴンが戯れる度に遥かな下方の世界はどんどん混迷していった。
お互いのドラゴンが幾重にも厳重に張られた結界を破った為に、人間達の住む世界に天変地異が起きたのだ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
「うわぁーーーーー!!」
「助けてくれーーーー!!」
「何でこうなった?!」
「ドラゴンが!!ドラゴンが!!結界を破った!!」
「ぬぁにぃーーーー!!!!」
2匹の東西のドラゴンは知らなかった。
災いをもたらした2匹のドラゴンを討伐に、勇者一行が魔法で空に向かっていった事を。
「ドラゴンーー!!」
「ドラゴンーー!!」
東洋ドラゴンと西洋ドラゴン。
決して会ってはならない存在だとはお互い知らずに・・・
〜ドラゴンはドラゴンに会いたい〜
〜fin〜
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