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小高い山々が連なる、とある東洋の世界。
流れ行く白い雲間を縫って、翡翠の様な光沢を帯びた緑色の長い身体をうねらせて、1匹の龍が飛んでいった。
「もう飽きたなあ。この屋根瓦の街も。」
龍のチョオは、艶々した団子鼻の側に生えるヒゲをピクピクさせながら、辺りを見渡して飛び回った。
「みーんな、俺を『神』と崇めてるんだけど、俺はそんなに威厳は無いよ。
寧ろ、それが俺を暇にしているんだよな・・・」
龍のチョオは、白い雲を突き出して聳える山脈の向こうを見詰めた。
「この山々の向こうに、俺とは全く違う身体の同じ龍種族が居るんだな。」
龍のチョオは大々噂に聞いていた、山々の向こうの西洋には背中に翼の生えて風船の様な膨らみのある大きなお腹の龍が生きていると思うと、胸がワクワクと湧いた。
「西洋の龍って、どんな龍なんだろ。1度見てみたいなあ。そうだ!!」
龍のチョオは自身の長細く大きな身体を大きくうねらせて垂直に昇り、苔生した岩肌の山脈の向こうを見詰めた。
「西洋の国って何処なんだ?!」
龍のチョオは、鋭い目を凝視した先に拡がる雲海の向こうを自慢のその千里眼で捉えた。
「こ、ここだ!!ここに違いない!!」
龍のチョオは目をカッ!と見開いて、艶々した団子鼻の穴をパンパンに膨らませて息を深く吸い込んで、顔をその千里眼が捉えた微かに゙見える煉瓦造りの城に向けた。
「よし!!行くぞ!!西洋の龍に逢いに行くぞ!!」
龍のチョオは翡翠色の鱗を輝く太陽の光で輝かせて、西洋の龍が居ると認識した遥か向こうに向けて飛び立った。
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