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「あ、でもでも幽霊部にはやってはいけない事があります」
女子部員は緊張した面持ちで幽霊部のルールを説明する。生きている生徒に悪さをしてはいけないや闇落ちしてはいけないなど。単純に迷惑行為を禁止しているようにも青柳は感じた。
「ルールを破ったらどうなるの?」
「ルール違反者は魂が汚れて悪霊になってしまいます。生きている生徒にも危害を加えかねないので、退部して貰わなければなりません」
「退部処分もあるんだ。幽霊だけど…」
「特に桑原くんっ!」不意に桑原と呼んだ男子生徒の方を向き声を上げた、
「なんだよ」
「あなた女子生徒のスカート覗いたり、フォトで勝手に映り込んだりしてるでしょう。誰かに見られてる気がするとか心霊写真撮ってしまったとか女子生徒たちからクレームが来てます」
「最近のJKかわいいから、ついな!」
「ついなじゃありません、エスカレートすると悪霊になりますからやめて下さい」
「ち、わかったよ!」
「それから屋敷副部長」
「なんだ」屋敷と呼ばれた男子部員は腕組みしながら訊ねた。
「男子生徒にテストの答案吹聴するのはいけません。それもやめていただきます!」
「俺は勉強を教えてやってるだけだ。間違った答えを間違ったままにするのは危険なんじゃないか」
「それはごもっともですが、自分で考えて答えを出すのも大切です。そして前園くん」
「俺もルール違反してるのか?」
「怪奇現象で生徒たちをビビらせるのは一番いけませんっ!」
「あれはいじめられてる奴をいじめから守る為にやったんだよ。いじめを容認するのは一番いけないことだと思うぜ。回りの生徒じゃあいじめを止める力はないからな」
「興味本位で怪奇現象を動画に撮ろうとする生徒も増えてます。気をつけるように」
「わかった。影山も色々言われてるぞ、誰もいない教室からリコーダーの音がするって」
「それは…」
なんだか学校の七不思議の裏側を見せられたような、怪奇現象の正体はコイツらかと胸中でツッコミたい気持ちになったので青柳はくすりと笑ってしまう。しかし、幽霊とはいえ部活なのにいる筈の人間がいない事に気が付く。
「そういえば、幽霊部に部長はいるのか?」
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