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こうして幽霊部員たちは、青柳の告白に向けて手紙の手解きや、告白の練習などを始める。
「相手は青柳の事が視えないんだ、ここは科学室の人体模型を借りて告白しよう」
「屋敷副部長、それって学校の七不思議そのまんまじゃないですか!」
屋敷の提案に青柳は異を唱える。
「ていうか人体模型、ほぼ全裸ですよ副部長!見えちゃってるし、全裸の男子に告白されてもキモがられて逃げられると思います」
影山も反対した。
「同感だよ。幽霊になって黒歴史作りたくないよ」
「じゃあ骨格の模型を借りてするか」
「人体模型より酷い事になるんじゃないですか。あたしは喩え幽霊でも本気でこころから告白すれば気持ちは届くと思います。この際小細工抜きでいきましょう」
「他に方法がないならそれでいくか」
告白の準備を終え、青柳たち幽霊部員は教室に向かい告白のタイミングを待った。
「そういえば青柳くんは、どうして学校でいじめにあったんですか?」
「知りたい?」
「青柳くん、あたしから見れば、どうやってもいじめに遭うようなタイプじゃないと思うんですけど」
「そう見える? 参ったな。クラスでいじめられてる子がいてね。かばったら僕がターゲットになってしまったんだ。情けないよね」
いじめられていた時の事を思い出すと、青柳は恥ずかしくなった。
「いいなあ、あたしも青柳くんのような男子に守って貰いたかったなあ」
「影山さんだって、いじめに遭うようなタイプの女子じゃないな」
「ヘ?」
「可愛いし、大人しいし、真面目だし」
「わ、私が、か、可愛い? 大人しい? 真面目かな、青柳くん何言ってるの!」影山は顔を赤くしながら否定する。
「誰かに守って貰わなかったの?」
「守って貰えたような気はするけど、いじめられてると余裕なくて相手のこと覚えられなくて」
「そっか、影山さんの恋愛も応援してあげたいな」
「あ、あたし? あたしのはいいから、青柳くんの告白が出来れば、それでいいんですよ。そろそろ時間ですね」
告白の時間が刻一刻と近付いて来る。青柳は幽霊ながら緊張してきた。幽霊だろうと好きな相手に告白すると言うのはこうも緊張した気持ちになるのか不思議だったが、幽霊でなければ付き合えるかもしれない期待出来るのに幽霊になったのが悔やまれる。
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