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「来ないね、誰も」
幽霊部員たちが見守る中、青柳は教室で待ったが誰一人やってくる気配はない。
「そうだね」
「あたしたち、ひょっとして囃すだけ囃して無駄な労力使わせちゃったかな」
「いいんだ」寂しそうに青柳は呟いた。
「本当にごめんなさい、あたしがあんな事言わなければ、青柳くん、傷付かなくてよかったのにね」
「この展開は予測していなかった。ほんと悪い事をしたよ。副部長の俺の責任だ」
「違う、止めなかった俺たちも悪い。連帯責任だよ副部長!」
「それな。せめて青柳の気持ち確かめてやればよかったよ。青柳、俺たちのこと恨んでいいぞ、悪霊になってもお前は悪くない」
「いや、寧ろ、ありがとう。お陰で決心がついたよ」幽霊部員たちが謝罪するが、青柳は責める事はおろか感謝した「無駄な労力なんかじゃないんだよ」
「どういうこと?」
「思い出したんだ。僕が好きな相手は本当は誰なのか。影山さんだよ」
「あ、あたし?」
青柳は影山の事が好きだったが、いじめられているのをかばったが為に、ターゲットにされてしまった。影山はそんな青柳に好意を持ってはいたが具体的に相手の事を知る機会を得られなかったというのが事の真相である。
「僕は、ずっと、影山さんに会いたかったんだ」
「あたしも、青柳くんに会いたかったのかも」
「幽霊になっちゃったけど、きみが好きだ!」
「あたしも青柳くんの事、好きです」
突如、青柳と影山の体がふわりと軽くなった。ずっと心残りだった事が解消されたのだ。
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