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私たちが“仮想夫婦”になった理由。
それには、少子高齢化に歯止めをかけるため、政府が制定を目指す法律が関係している。
通称、マッチング法。
それは、成人した男女全員に、マッチングサイトへの登録を義務づけ、さらに適合率95パーセントを超えた男女を強制的に結婚させるってシロモノ。
要は、適合率が高ければ、離婚率が下がる。
つまりは、安定した家庭を築ける、ということは、出産、育児の意欲も上がるだろ、ってことらしい。
……なんでそんなこと知ってるのかって?
それは私たちが、実証試験のモニターだから。
ランダムに選ばれた成人男女カップル、計100組が、“仮想夫婦”となり、半年間政府が用意した新居で暮らす。
開始時と終了時にマッチング適合率をはかり、適合率と離婚率の相関関係の実証を目指すってワケ。
ちなみに、“仮想夫婦”とはいえ、戸籍上はガチで入籍している。
実証試験終了後、結婚を継続するかは各カップルの自由。
離婚する場合、政府権限で結婚の事実を抹消し、戸籍にバツがつかないようにしてくれる、とのことだ。
ちなみに、入籍時に計測した私と航の適合率は、たったの8パーセント。
正直、前途多難な予感しかしない。
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