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プロローグ
このに存在する、三つの世界。
一つは、人間とその他の動物が共存する、「現実世界」
もう一つは、かつての人間の神話をもとに作り出した「空想世界」
三つは、二つの世界の境界に存在する、「魔法世界」
「空想世界」では、かつての人間が化け物や妖怪と呼び、恐れた「陰」、神と呼び、信仰した「陽」が存在する。
かつては「現実世界」に人間と共存したが、科学の発展とともに信仰や恐れが薄れていったのち、世界各地に散らされた神話を基に、「空想世界」を作り出した。
「魔法世界」は、特殊能力を持った人間と、幻想生物が存在する、神々の管理下に置かれた世界。
三つの世界のルールは、神々が持ち出した「神話」などの物語が保存されている書庫を守ること、
「陰」と「陽」のバランスを守るため、人類が滅亡するまではこの世の悪の根源である「ヘルヘイム」などの、魔物が住む地域への攻撃、「アースガルズ」などの、神々が住む地域への攻撃の禁止、
神々は「神話」をあみだした人間にある程度の祝福を与える事。
これは、人間に危害を加える、「陰」にも属しない妖怪や亡霊を討伐する為に「力」を与えられた少女たちの物語。
京都、大江山。
かつて都を荒らし、山付近の村人達を恐怖で支配した、酒吞童子が住んでいるとされている……
が、それも昔の話。
990年、源頼光によって酒吞童子は倒されたのだ。
村人達は安堵し、これまでの生活を取り戻した…はずだった。
2011年、村に住む、八歳の少女が失踪した。
警察は人間による誘拐事件だと踏んだ。
警察の判断は通常だが、この村はかつて酒吞童子がもたらした被害が最も大きいと言われている為か、村人は鬼の仕業だと信じて疑わなかった。
何百年かぶりに、村の話題は鬼一色になる。
かつて起こった悲劇を、もう一度思い出すように。
村人の恐怖心が日に日に募っていく中、村と大江山に壁を作るように建てられている神社は、家宝である「玉」と「鍵」の封印を解き、宮司の子どもである、当時小学生と中学生だった双子の兄妹に授けた。
それは、授かるだけで異能力が得られ、酒吞童子レベルの妖怪の討伐も夢ではないと言われている物だ。
それから二人は、必死に修行に励みだす。
家宝は、一度封印を解いてしまうと、再び封印するまでは誰の手に渡るかわからないからだ。
戦闘能力が一番高い者に家宝は渡ってゆく。すなわち、修行をしたら家宝を授かれるチャンスが村人全員にある…というのは事実なのだが、生まれつき持っているとされる「霊力」等の高さなどから考えて、家宝を授かるのは二人という事はほぼ確定していた。
だが、二人よりも強い霊力、体力を持つ者達が、大江山には存在したのだ。
鬼族だ。
2013年、5月某日。
鬼族は村人が寝静まる夜間に下山し、双子の兄が夜の修行で使っていた家宝を武力で奪い、朝になる頃には村人は全滅状態。
一人の人間と一匹を除いて。
2023年、4月上旬 東京のとある下町
あれから十年間、私は探し続けました。
あの日兄の命を奪った鬼を、私を救った人物を。
目の前にそびえ立つのは、二階建ての小奇麗なビルに挟まれた、小さい神社の鳥居らしきもの。
奥には深い深淵が無限に続いており、暗闇の中で石灯籠が、私達を導くようにこうこうと光っている。
なんだか不安になり、私はセーラー服のポケットに忍ばせている「鍵」を取り出し、ぎゅっと両手で握りしめる。
鍵を握りしめたまま、後方にいる彼女に目線をやると、返事はなく、こくりとだけ頷く。
私は意を消して、目の前の鳥居を潜った。
あとがき
こんにちは、三船アオと申します。
中二病臭い小説初心者の作品ですが、よろしくお願いいたします……
こんな感じで、毎週火、水曜日に一話投稿していきます!(^^)!
誤字などありましたらご指摘お願いいたします。
「夜の修行」は、変な意味じゃないですよ?
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