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確かに、夫と一緒にいる時間は幸せだ。
私のことを気遣い、私のことを第一に考えてくれる。
そんな夫に私はずっと甘えながら生きてきた。
それでも、私は新しい家族が欲しかった。
夫と二人の生活に不満はない。
だが、新しい家族を迎えて、みんな仲良く暮らしていく未来を、私は一度とはいえ夢見てしまったのだ。
だからこそ、夫が『子供を諦める』旨の話をしたとき、絶望したのだ。
「そう……だよね。お金もかかるし、望みのないことにお金、かけられないよね……。」
私は、資金面を理由に、夫の言葉に同意した振りをした。
「二人で仲良くこれからも暮らしていこう。」
そんな私に、夫は優しく声をかけてくれた。
そんな優しい夫のお陰で、私は一度は子供を諦めて二人で生きる覚悟を決めた。
しかし、私は見てしまった。
夫が仕事用の鞄にうまく隠した、1冊の本を。
『今から知りたい、パパが出来ること』
夫も、子供を望んでいたのだ。
新しい家族を、望んでいたのだ。
私も、一瞬でも諦めようと思ってしまった自分を悔いた。
その日の夜。
私は夫と話し合うことにした。
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