876人が本棚に入れています
本棚に追加
だからレオンを糾弾する台詞を本人に面と向かってぶつけるとは思ってもおらず、さぁっと青ざめてしまう。
ジェフリーが不敬罪で罰されるのではないかと考えて助け舟を出そうとしたが、思ったよりもレオンの反応は薄かった。
「……ああ、なるほど。お前、セシルが……」
いや、薄いというよりもセシルの予想から大きく外れていた。へえ、と納得したような、けれどつまらなさそうなため息を零すと、ジェフリーを挑発するようにさらにセシルに顔を近づけてくる。
(れれれ、レオン様ー!)
そのまま頬に口付けられてしまうのではないかと内心で大絶叫するセシルだったが、レオンはその場ではそれ以上のことはしなかった。代わりにセシルの身体を抱き寄せると、そのまま馬車の奥へ押し込まれる。
「セシルには仕事を手伝ってもらっているだけで、俺が好き勝手に連れ回してるわけじゃない。セシルの上司とここの所長にも許可は取ってある。気になるならその二人に聞けばいい。――答えるかは知らないがな」
「……」
「もういいか?」
さっさと話を終わらせたいとでも言いたげな態度で、レオンも馬車へ乗り込んでくる。
外ではジェフリーが苦々しい表情をしていたので、彼がセシルを心配してくれていることは十分に伝わってきた。面倒見がいいジェフリーは、きっとセシルの身を案じてくれているのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!