27. 混ぜるな危険 前編 ◆

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「詳細は話せないですし、仕方がありません。週が明けたら僕からどうにか誤魔化しますので、レオン様は気にせず……」 「いや、そうじゃないだろ」  ソファの隣に腰を下ろしながらため息をつくレオンに途中で遮られる。  レオンが不憫だと表現するのは、セシルを心配してくれたジェフリーに真実を知らせることが出来ず、あの場から早々に立ち去ってしまったことに対してだと思っていた。  だから次に出勤してジェフリーに会った時にどう対応すべきかと思案するセシルだったが、レオンが言いたいのはそういうことではないらしい。セシルの表情をじっと見つめると、数秒の後にフッと笑みを零す。 「まあ、いい。そのまま気付くな」 「な、なんですか……?」  上機嫌なレオンの真意を問い質したくなったセシルだが、口を開く前にまた先ほどと同じように肩を抱かれて身体を引き寄せられた。  大胆な行動にドキッとする。だが今は馬車ではなく二人の他に誰もいないレオンの私室だ。彼の望みを察知すると、レオンの求めに応じて大人しくその腕に身を委ねる。  セシルの安堵を感じ取ったのだろう。こめかみの傍にレオンの吐息がかかった。 「今日、王会議の場でアレックスに関する報告とこれからの対応についての話し合いをした」 「!」  レオンが静かな声に切り出した話は、今後のセシルとレオンにも関わる大事な話だ。  甘い空気を一変させる内容にごくりと唾をのみ、レオンの腕の中から彼の顔をじっと見つめる。
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