27. 混ぜるな危険 前編 ◆

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 しかし態勢を立て直す暇は与えられない。  そのまま唇を重ねられると、あっという間に身体の自由と思考を奪われた。 「ん……」  甘えるような声が漏れると、そのまま唇を軽く噛まれる。唇同士が触れ合って間近で感じる互いの吐息にまたドキドキとときめいてしまう。 「セシルの唇は柔らかいな。色も綺麗だし、一生懸命動くのも可愛い」  レオンの指先が唇を撫でる。感触を確かめるように辿られ、時折顎を持ち上げられて口付けられる。薄く目を開けたレオンがすぐに離れ、また親指の先で唇を撫でられて、キスされる。 「あっ……ん、む……ぅ」  緩急のあるキスに戸惑っているうちにレオンの舌が口の中に滑り込み、気付けば深い場所まで貪られている。ゆっくりと慣らされ、じっくりとキスの快楽を教えられていく。 「ふぁ、あっ……」  熱い舌が口内を這い回る。驚いて引っ込んだセシルの舌を探すように、緩慢な動作で口の中を蹂躙される。  深い口付けに力が抜けると、レオンが離れても口が閉じられなくなる。キスの余韻に酔ったせいか、舌の先から透明な粘液が糸を引いて顎に零れ落ちても、身体が熱に浮かされて拭うことも忘れてしまう。  甘くとろける感覚に身を委ねていると、その隙をついてレオンの手がシャツの裾から中へ侵入してきた。肌に触れる指先の感覚に一瞬で我に返る。
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