そしてまた、ひとり

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 妻は目を覚まさないまま、時だけが過ぎ、やがて夜を迎えた。 「真央、頑張れ。また一緒に旅行するって言ってたじゃないか」 「孫だってまだ小さいんだ。これから、たくさん楽しい思い出を作ろう」  聞こえているのか、いないのか、そんなことはどうでもよかった。僕は声をかけ続けた。  しかし、妻は目を閉じたまま、ピクリとも動かなかった。  夜8時過ぎ。僕たちは特別室に戻った。幾分、気持ちは落ち着いたものの、余談の許されない状況は変わらない。  僕たちは交代で妻の元に付き添うこととし、僕はシャワーを浴びて、簡単な夕食を摂った。 「父さんはひとまず休んで。朝からずっとここにいるんだから」  そう促され、僕は娘が敷いてくれた布団に休んだ。  眠れそうもない目を無理やり閉じ、僕は束の間の仮眠に入った。
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