もう一度会うために

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ほんの一か月前まで、私はソムニア王国という国の伯爵令嬢だった。 家族は両親に姉が一人。 両親は私にはとことん甘かったけど、何故か姉にはとても辛く当たっていた。 姉の銀の髪を呪われた色だと言い、深紅の瞳を悪魔に魅入られた色だと言って忌み嫌っていた。 両親からずっとそう聞かされていたものだから、愚かな私はその色が本来はどういう意味を持つのかを自分で調べようともせず、両親に言われるままに姉を嫌っていた。 私が酷い暴言を投げかけると、姉はいつも寂しそうに微笑んでいた。 両親からは関わるなと言われていたし、私自身も自分から積極的に関わろうとはしてなかったけど、今になって思うと、姉はきっと妹として私を少しは可愛く思ってくれていたんだと思う。 今更それに気が付いたところで遅すぎるのだけど。 両親や私からずっと虐げられ続けて来た姉は、18歳になった時にとうとう家から追い出された。 私はその経緯までは詳しくは知らなかったけど、元々姉のことは嫌っていたから、悲しむどころか清々したと喜んでいた。 本当に馬鹿だったと思う。 家から追い出された姉は、何かの縁があったのかどうなのかはわからないけど、ソムニア王国の隣国であるエターニア王国へと渡ったらしい。 そこでエターニア王国の王太子殿下に見出され、婚約までしたと聞いた時は自分の耳を疑った。 私は何故姉がと怒るばかりだったけど、両親はそうではなかった。 それなら我が家もエターニア王族の縁戚だと主張し、恥知らずにも金の無心に行ったそうだ。 私はちょうどその時、友人から別荘に遊びに来ないかと誘われてそっちに行っていたから同行はしなかったけど、本当に良かったと思う。 あの頃の愚かな私なら、きっと両親と同じような無礼を働いていただろうから。 そう、両親は愚かにも、エターニア王国の王族に無礼を働いたのだ。 金の無心だけだはなく、断った姉に暴力を振るったという。 どうやら、我が家は父のギャンブルと母と私の浪費で家計が火の車だったらしい。 そんなことも知らず、呑気に遊んでいた私の愚かさと言ったら、情けなくて涙も出ない。
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