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シュンは母の育った国で大学に進み、色彩工学や色彩心理学など様々な色についての研究を行っていた。 母の事もあり、時々バイトでモデルの仕事をする。 モデルになった方が生活は楽そうだとは思うけれど、あの茜色が影響してなのか、今の研究生活は楽しい。 とはいえあれから日本に帰る機会は、一度も無かったし、帰りたいと思う暇もなかったようだ。 「シュン!いたいた〜!このバレー公演なんだけど、一緒に観にいこうよ。チケット2枚取れたのよ」 と、フライヤーを差し出したのは同期でシュンを狙っている積極的な女の子だ。 「興味ないから、他あたって…」 と断りかけたシュンだったが、一瞬にしてそのフライヤーの、エトワール・ガラ公演に出演する日本人エトワールの名前に視線が捕まった。 "Akane HANA" そのエトワールの写真は、大きな真っ黒の瞳そのままの、大人っぽくなったアカネちゃんだった。
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