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その日のキリン組さんは、幼稚園の校庭で夏祭りの練習をすることになっていた。
太鼓をぽんぽこ叩いているハルくん、ぴーぴー笛をふくのが上手なケンタくんもいるところに、チャンパを手にシュンちゃんは混じっていった。
まゆみ先生の合図といっしょに、みんな上手にリズムを合わせる。
何といっても、キリン組さんだ。
「お受験なさるキリン組さん担任の…」と、まゆみ先生は誇らしげにお父さん、お母さん方の前でよくご挨拶をする。
そんなキリン組さんは、リズムを合わせるなんてオチャノコサイサイなのだ。
シュンちゃんがリズムをとりながらも気になっているアカネちゃんの方をこそっと見ると、園長のまさこ先生が地面から引っ張り起こそうと苦戦している姿が見えた。
アカネちゃんは、楽しいことにどんよくなのだ。
キングまさこと戦闘中のアカネちゃんは、地面に貼り付いたまま、びくともしない。
アカネちゃんはキリン組さんでは背が一番高くて、お年よりで「まさこ先生は腰痛もちだから誰か助けに行ってあげて」と、まゆみ先生が通りかかったひよこ組の先生にお願いした。
いつものちょっとしたアカネちゃんの行動に、うんざりしたようなおばさん顔をマネして、前で踊るリサちゃんが振り返ってシュンちゃんに耳打ちする。
「なんでアカネちゃんみたいな子が、キリン組さんなのかしらね」
きっとリサちゃんママが、こういってたんだろうなと思うような大人の口調だった。
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